コストダウンや小型化ばかりに技術は駆使され、本格的なマーケットーイノベーションができていない。
これは、ある面で、マーケット全体の成熟化の特徴といえる。
あまり意味もなさそうなことに競争というだけで血道をあげて、優秀な技術者のクリエイティヴィティーを浪費している。
ただ差別化するためのテクノロジーや、バロックアクセサリーに成り下がってしまった。
マーケットでは、店の販売員でさえ商品の違いがわからないほど、多品種化し、針の穴を突くような差別化競争が繰り広げられた。
多様化といっても、結局のところは同じような商品ばかりが溢れている。
高級化、個性化、多様化路線は、バブル崩壊で破綻した。
消費者は高級ブランド品あさりに、あき始めている。
マーケティング関係者は、商品を緻密に分析し、いろいろな軸をつくって、数ある商品をプロットし、何がヒットしているかを分析する。
まさに競争のための競争を繰り返している。
日本もかなり豊かになったのだから、もうそんなことはやめた方がよい。
だいたいが、十人十色だとか十人百色といわれるマーケットに商品の多様化で挑もうとするのがそもそもの間違いではないか。
このような意味のない競争にいくつかの企業は気づきはじめている。
たとえば、新商品の開発点数を減らしたり、自動車ならばモデルチェンジの回数を減らさせる、共通部品を増やすなどの対応をしている。
それだけで、商品開発に伴う膨大なコストを削ることができ、利益率は高まってくる。
しかし、新商品によって、消費者の購買意欲を高められなければ、売上は落ちてしまう。
シェア競争からの脱皮のためにはそれも仕方がない。
このような転換が、環境意識の高まりとともに、しかも不況の時期に進んでいるために、消費市場が活況を呈するまでには時間がかかりそうだ。
この不況は長く続く。
そのなかで、本来の創造性を発揮し、「体と心が満足する」商品開発を行なえる企業がマーケットを獲得するだろう。
ホームランではなくシングルヒットをめざす経済成熟化社会とは人材の尺度がない時代である。
リード企業、リード産業もなき時代だ。
経済が成熟するというのはそういうことである。
経済企画庁がだめなのはそこだ。
経済指標があると仮定して経済判断をしている。
戦後の日本でも、石炭の時代があり、繊維の時代があり、鉄の時代があり、家電の時代があり、自動車の時代があった。
時代を引っ張っていく産業があった。
ところが、もうそれはない。
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